6月22日(土)に日帰りで富士登山をしてきた。富士山登頂へのチャレンジは今回で2回目。1回目は登山経験がない無謀ともいえる状況でチャレンジして、無事に富士山最高峰の剣ヶ峰に登頂することができた。その時の様子や心境をブログに残しておきたいと思いながらも、書き出すことすらできなかったのは「しんどかったのか楽だったのかですらはっきり覚えてない」「写真が全然ない」、つまり登頂という目的を達成する事に熱中し過ぎて、言語化するだけの感情や情報が残っていなかったからである。
ありがたい事に縁が繋がり、2回目の富士山登頂へチャレンジできた今回、結果を先に言ってしまうが無事に剣ヶ峰まで登頂することができた。
自分自身の人生を思い返しても、これ以上の多幸感に包まれた日は無かったと思う。楽しい、嬉しいの感情が一滴も溢れ落ちないぐらいに自分の器を大きくしてきて本当に良かったなって。
写真を見てもらえばどれだけ楽しかったのか瞬時に伝わると思うが、私的な内容で載せれないので僕の稚拙な文章で何とか伝え残したいと思う。
一緒に登った仲間、そこで出会った人々、2度と見ることができない景色、富士の山が魅せてくれた素敵な情景を忘れないように。
こんな仲間とこんな感じで登った
まず、一緒に登った仲間と達成した登山工程の簡単な紹介をする。
富士登山に興味がある方の参考になればと思う。
ただ、注意してほしいのは次の点。
僕が登ったのは開山前です。山小屋は営業していないし、周りに助けてくれる人もいません。富士山に対する十分な知識やしっかりとした準備、計画性を持たない方の登山は危険を伴います。富士登山に対する有識者と一緒に登る、トレーニングを積む等、万全の準備の上登ってください。
*富士登山にチャレンジして欲しいという気持ちは強いですが、開山前の登山を推奨するものではありません。
現実問題、僕が登った当日に数名の死者が出てしまった。いずれも、富士登山経験者、プロクライマーといった登山に慣れている方々。自然の恐ろしさと無事に帰って来れて良かった安堵を今感じている。
さて、今回一緒に登った仲間のプロフィールを簡単に紹介すると、
仮名 | 登山歴 | 運動歴 | パーソナリティ |
---|---|---|---|
Aさん | 富士山180登頂超え | ウルトラマラソン完走 | 安心・安全にサポートしてくれる富士登山のプロ |
Bさん | ・初富士登山 ・低山や2000m超えの登山経験あり | 5km走完走 | ・内に秘めた強い気持ちはNo1 ・アドバイスをアドバイス以上に聞く誠実さ |
Masa(筆者) | ・富士山登頂経験あり ・低山の登山経験あり | 5km走完走 | 目的達成のためには何でもするストイックさ |
- Aさんは去年、登山経験がないのに富士山に登りたいという無茶苦茶な僕を無事に登頂まで導いてくれた富士登山のプロ。背中をただ追いかけているだけで登れる安心感がある。
- Bさんは登山前に体調を崩しかけたが、登山当日にはしっかり整えてくる計画性が抜群。心配はしたが、この子は登り切るだろうなと思わせてくれる気持ちの強さが魅力的。
命がかかっている富士登山では誰と登りたいかというより、誰と登れるかという表現の方が適切で、一緒に登る仲間を自分のことのように心配してくれる優しさ、アドバイスを素直に聞き入れる誠実さ、登頂したいという強い気持ちを持った人とじゃなきゃ一緒には登れない。
この仲間と挑戦したいという気持ちが日に日に強くなっていくにつれて、心配となるのは「富士山は僕たちを登らせてくれるのか。」ということ。
6月末は東海地方も梅雨入りし、サイトごとに予報が違う、日が変われば天気が変わる。
「よし晴れた」と思えば「大雨になっているやん」と一喜一憂、ホテルや登山道具のキャンセルの事もあったので、登るなら少々の雨でも登る、危険が少しでもあったら断念する、このソワソワした落ち着かない気持ちを早く解消したいと冷静な判断が下せない状況になっていた。
そんな時でも、本当に頼りになるのは富士登山のプロのAさん。
「いつまで予約はキャンセルできますか?」「山の天気は変わるので、今が雨でも前日まで登れる可能性はあります。」
と冷静な声がけをしてくれた。
Aさんが言ってくれたように、雨の予報が登山予定2日前には曇りになり、前日には少し晴れ間が出る予報に変わってくれた。
僕達の富士登山を応援してくれた方(富士登山経験あり)も「富士山が登れって言ってくれてる予報だよね」と言うぐらいに、登るタイミングだけ晴れという奇跡の天気で登山をすることができた。
Aさんが前日ギリギリまで調整してくれた登山工程はこんな感じ。
※午後には天気が悪くなりそうだったので、集合時間を1時間早めた
下山途中の昼過ぎには風が強くなってきたので、1時間集合時間を早めたのはいい判断。
こうやって見ると、○合目のポイントで写真を撮ってゆっくり過ごしていたにしてはいいペースの富士登山だったなと。
登山は準備が大切といえども・・・
閉山中は山小屋が空いていないので、ザックに忘れ物をしていないかの確認はとても重要。
難しいのは不要に詰めすぎても、ザックが重たくなり過ぎて登山に支障が出る。
そのため、登山前にまだ日が出ていない真っ暗な駐車場でザックの中身を最終確認した。
ここで、登山前の緊張した気持ちを和らげてくれたのはBさん。
ザックの中身を確認すると、ドラえもんの四次元ポケット並みにで出るわ出るわのお菓子たち。
事前の「食べ物は気持ち多めに持って行った方がいい、エネルギー不足になると動けなくなって危ない。」とのアドバイスをちゃんと聞いてくれて用意してくれた・・・にしてもあまりにも多くて、Aさんのツッコミ「キャンプができます。」がまさにそれだなと。
ザックはできる限り軽くなので、不要なお菓子は車に置いていくことにしたが、こだわりを持って買っただろうお菓子が不要とされていく時の「えっ、これも置いていくんですか・・・」と言いたいが言えないBさんの寂しげな表情がなんか良かった。
一度に複数の景色を楽しめる贅沢さ
駐車場から5合目の山小屋までの場所から見える景色が一番好き。
街の灯り、星空、日の出のオレンジかかった空と景色が変化していく。
社会の一部だと感じさせる街の灯りが消え、壮大な自然の景色が広がるその瞬間、異世界にワープしたような感覚が何とも言えず心地良い。
そこではストレスとは無縁で、集中していかないと見えない圧に吹き飛ばされるという危機感が、ただただ自分を熱中させてくれる。
富士山に受け入れられた
体調を崩すことなく、辿り着いた新7合目の休憩地点。
Bさんと写真を撮ったりして過ごしていた時、偶然居合わせたAさんの登山仲間の方が道の先で、
「Aさん!!影富士が出てる!」
と叫んでいた。ただ事でないその雰囲気に、僕はここが標高2780mの場所だということを忘れ、Bさんとその声が聞こえる場所に走っていた。
麓の地表や雲海に、富士山の巨大な影が映し出される現象で方角・時間帯・気象条件がそろわないと見られない。
影富士というものを知らなかったし、その方が叫んでくれなかったら、その方と居合わせていなかったら、そもそもその方がAさんと知り合いでなかったら・・・すべての奇跡が重なって見ることができた光景。
きっと、富士山が「ようこそ。」と受け入れてくれたんだろうな。
どうしても見せたいと言ってくれていた雪化粧
9合目(標高3460m)の休憩地点では景色が一変した。
Aさんがどうしても僕に見てほしいと言い続けてくれた景色で、6月末まで雪がここまで残っているのは珍しいとのこと。
登山上級者はアイゼンを付けて登るみたいだが、このラインは超えなくていいかなと・・・高所恐怖症の僕には絶対に無理・・・
せっかくの機会だからということで、Aさんが僕たちを引っ張りながら登ってくれた。
自分自身も危険になる可能性があるのに感謝。安心感がすごくて全然怖くなかった。
9合目では下山中のAさんの知人の方(富士登山家の中では有名な方)とも出くわした。
どこかの休憩地点で挨拶をした方で、会うなり「もうここまで登って来たんですか?!」「初富士登山でその元気さはやばいですよ。」と褒めていただいた。
高山病にならなかった安心感もあり、終始ニコニコしていた自覚もある。
この方だけでなく、山で出会う方は本当に素敵な方ばかり。
爽やかさ、一緒に写真撮りましょうと言ってくれる気さくさ、応援のお声がけ、自分の方がよっぽどすごいのに「すごいですよ!」と言ってくれる謙虚さ。
他人に何かを与えられる人ってこんな方たちなんだろうなって。
支え合いながら辿り着いた剣ヶ峰
ここまで順調だった僕もBさんも9合目からはしんどかった。
酸素が薄く、少し登るだけで息苦しくなる環境。
気持ちは上に上にと強くあるが、体が思うように付いていかない。
こんな時に励みになるのは、お互いへの声かけ。
「大丈夫?」「休憩しよ!」「休みたいです。」
下山後にBさんが話してくれたが、心拍数が190を超えていてしんどかった時、「しんどいのに、自分の限界を超えてみたくなる。休憩しよって言ってもらえて良かった。」
内に秘めた気持ちは誰よりも強く、アドバイスを素直に聞く誠実さを持つBさんらしいなって。
(僕が「休憩しよ!」って言った時は心配していたのはもちろんだが、実は自分もしんどくて、「休みたいです」って言ってくれた時にほっとしていたということは内緒にしておこう)
- 冒頭にも述べたが、富士山は誰と登りたいかではなく、誰となら登れるか。
- 相手を信頼して、相手の声に耳を傾ける、素直に自分の気持ちを伝える、お互いを支えられる関係性があってこそ。
しんどくなったら休む、またほんの少し登るを繰り返し、時には天然の氷柱を食べつつ、何とか辿り着いた剣ヶ峰山頂(3776m)
目標としていた3人で剣ヶ峰登頂が達成できて嬉しかった。
櫻坂46を推している僕とBさんは「登頂してシングルのヒット祈願をしたいよね。」と言っていたので、その目標も達成できて安心した。
後日、貴重なLIVEチケットが当選したのは絶対にこのおかげ。ありがとう富士山、櫻坂。
一番好きな情景を選ぶなら
星も見れたし、影富士も見れたし、雪化粧も見れたし、富士が魅せてくれる絶景がこの日に凝縮されていたんじゃないかと思うぐらいに贅沢な時間だった。
数日経った今でも写真を見返すとニヤニヤが止まらない。
どの景色も忘れたくないものであるが、一番好きなのは富士山で出会った人、一緒に登った仲間の表情。
・登山家の方々の登頂頑張ってねの優しい表情
・Aさんの絶対に登頂させてあげたいという気持ちが伝わってくる凛々しい表情
・Bさんの楽しい、楽しいと曇りが全くない輝きに満ちた笑顔
・そんな姿を見れて幸せそうな僕の表情
富士山が魅せてくれた情景を一生忘れたくない。
さいごに目標を宣言したい
さいごに、富士山で達成したい目標を宣言してこのブログを終わりにする。
- 今年(2024年)の9月にもう一度登頂する
- 富士宮ルート+お鉢参りをする
- 須走ルートで登頂する
- 御殿場ルートで登頂する
Aさんとも相談して、上から順番に達成していこうと思う。
富士山が好きになっちゃったなぁ〜
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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